海を渡ってきたわが子 韓国の子どもを育てたスウェーデンの親たち:9編の実話

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海を渡ってきたわが子 韓国の子どもを育てたスウェーデンの親たち:9編の実話

キム・スコグルンド(編), 徐凡喜(訳), 坂井俊樹(監訳 | 監訳)
四六判   136頁  並製
定価 1,500円+税

「海外養子縁組み」・・・子どもを育てた親たちが語るそれぞれの家族の物語。家族って? 血縁って? 親子って?
※この本には、「自分の家族、自分の血縁という垣根を乗り越えた人類愛」、「根本的な信頼が崩れ落ち、受けた深い心の傷を癒す愛の力」、「心の傷が治るまで長い間見守り、耐え待ち続ける母性愛」、が盛り込まれている。本書が日本の読者の皆様にささやかながらも役立てられることを願っている

【目次】
日本の読者の皆様へキム・スコグルンド
私の4分の1は韓国人グンネル・ラスク/エイナル・ラスク
2回目のチャンスグヅルン・ジェルテ
ある日突然ママになるマイ・カールソン
〝ぼくの故郷はスウェーデン〟クリスティーナ・ブロマン
ひとり親としての私エリザベット・デヨン
あなたのちいさな息子、明日到着しますカリン・ビベリ
これよりもっと大変なことはなかったエヴァ・ヘデーン
クリスティアンの話ビルギット・イェラン・ヤコブセン
ヨハンナとジンは私の人生を豊かにしたビルギッタ・ブレドべリ
解説―韓国の海外養子について翻訳者・徐凡喜 監訳者・坂井俊樹1

【著者より】
日本の読者の皆様へ
キム・スコグルンド
 1950年に勃発した朝鮮戦争は、韓国社会に多くの変化をもたらした。その一つに、経済的困窮から子どもを海外へ養子として送り出すという社会的変化があった。貧しい家庭の子どもに、より良い暮らしを与えようという気持ちが養子縁組みへとつながったのである。
 朝鮮戦争時、負傷者を治療するために派遣されたスカンジナビア3国(ノルウェー、フィンランド、スウェーデン)の医者、看護師が戦後祖国へ帰り、朝鮮半島での悲話を伝えたのが契機となって、1960年代戦争孤児たちの海外養子縁組みが始まった。やがて1970年頃から1980年代にかけて、毎年800人余りの子どもたちが韓国からスウェーデンへ養子として送られた。以後、次第に減り続け、現在は、毎年50人ほどが養子縁組みされている。
 以前は、戦争孤児が養子縁組みの主な対象だったが、最近は未婚の母たちの子どもが中心となっている。韓国社会にある偏見が、未婚の母たちに自分の子どもを諦めるしかないようにさせたからである。現在、ようやく韓国未婚母協会が組織され、彼女たちを助けるために努力している。幸いなことである。
 私は1961年、韓国の国立中央医療院に勤め、1962年にスウェーデンへ移民した。その後、精神科専門医、精神分析学者として30余年働きながら多くの養子たちに出会ってきた。養子たちは、誰もが通過する思春期を大変な思いで過ごし、そして成人になり養父母から離れ社会に出る時、もう一度混乱を経験する。私は誰なのか?という深刻なアイデンティティの問題に直面するようになるのである。正解が見えない質問を、自分自身に問い続けながら苦しんでいた彼/彼女らの相当数が精神科医の助けを求める。彼/彼女らとの出会いで養子たちに関心を持ち始めた私は、彼/彼女らと痛みを分かち合いながら、治癒のために努力してきた。
 このような経験をもとに、定年退職の際、その間に積み上げてきた知識と経験を生かして、2006年の秋に『渇望』を、3年後に韓国の読者のために韓国語版『美しい因縁―スウェーデンが育てた我が子どもたち』を出版した。
 スウェーデンへ移民してから50年あまりが過ぎ、スウェーデンはいつの間にか私の第二の祖国になった。スウェーデンは本当にすばらしい国である。ここの人々は、困った人を助け、他人のことを思いやる美しい心を持っている。韓国だけではなく、インド、エチオピア、タイ、ベトナム、インドネシア、中国、コロンビア、チリなどから4万9千人あまりが養子縁組みされ、また世界のあらゆるところの戦争難民の人々、政治亡命者たちを受け入れている。障害を持っている子どもたちも包み込む。2000年までキリス卜教国家だったために、彼らの胸に深く根付いたキリスト教的人間観がその基盤にあったからであろう。人は誰でも神様の大切な子どもであり、子どもたちは誰もが守られる権利があり、大人たちは彼らの世話をしなければならない、という考えが心の中に深く根づいている。
 養子を送り出す韓国の人々は、不慣れな土地で悲しみを抱え生きていく子どもたちの気持ちが理解できないと思う。一方、養子を受け入れる側のスウェーデンの人々は、子どもを送るしかない母親たちの辛い心の傷を理解できないと思う。日本は公式的には海外養子を送ることも、受け入れることも行っていない国である。だから今回、徐凡喜さんの翻訳で日本語版が出版されるという話が持ち上がった時、最初は疑問に思えた。日本の社会が果たして、海外養子縁組みについて関心を持っているのか?
 しかし作業が進む過程で、私自身が偏見を持っていたことに気づかされた。日本にもこのような悩みは存在し、国内養子縁組みが行われているのは勿論、一人の子どもが立派な成人に成長するまで乗り越えないといけない困難が存在する、ということであった。
 家を建てる時も、基礎をしっかり整えるように、人にも根本的な信頼が大切であろう。どんな事情があったにせよ、子どもの時、親と別れた子どもは、自分は親に捨てられたと思うものである。このような過程で子どもは自分が愛される価値がない、と全てを自分のせいと考え劣等感を持って暮らしやすい。
 この本には、〝自分の家族、自分の血縁という垣根を乗り越えた人類愛〟、〝’根本的な信頼が崩れ落ち、受けた深い心の傷を癒す愛の力〟、〝心の傷が治るまで長い間見守り、耐え待ち続ける母性愛〟、が盛り込まれている。本書が日本の読者の皆様にささやかながらも役立てられることを願っている。

【著者プロフィール】
キム・スコグルンド
1937年、ソウルで生まれる。韓国で医学部を卒業後1962年韓国・国立医療院でインターン、その後、スウェーデンに移民。スウェーデンで30余年間、精神科専門医として働きながら精神分析を研究する。とくに養子の子どもと養父母の治療にあたってきた。世界精神分析学会会員。現在、ストックホルムに在住

徐凡喜(ソ ボミ)
韓国ソウル市生まれ。現在、東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍。
主な研究 韓国に帰還した海外養子たちの研究。
日本で韓国語講師としても20年以上活動(現在・池袋コミュニティーカレッジ講師)

坂井俊樹(サカイ トシキ)
東京学芸大学人文社会科学系教授(専攻・歴史教育・韓国現代教育史)
主な研究 日韓関係と東アジア史、教育におけるリスク論
編著に『ゆれる境界・国家・地域にどう向きあうか』(共編著・梨の木舎)など多数
(上記内容は本書刊行時のものです。)

ISBN 978-4-8166-1303-6 C0036
2013年4月発売

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