金子文子 わたしはわたし自身を生きる 手記・調書・歌・年譜

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[増補新版] 金子文子 わたしはわたし自身を生きる 手記・調書・歌・年譜

鈴木 裕子(編)
A5判   310頁  並製
定価 3,600円+税

金子文子は1903年横浜に生まれ、大逆罪で死刑判決を受け、減刑されるが獄中で縊死。極貧のなかで子ども時代をすごし、祖母に虐待を繰り返される朝鮮での暮らしのなかで、3.1独立運動に遭遇、朝鮮独立運動に深く共感する。弱いもの小さいものに心をよせ、明快な言葉と論理で天皇制に直接対峙し、自分の生を生ききった、23歳の生涯であった。

●「権力の前に膝を折って生きるよりは、死して自分の裡に終始」した、金子文子の生涯を浮き彫りにする。増補新版の刊行!
●二〇〇六年に刊行した旧版(品切)に収録できなかった部分をいれ、獄中手記「何が私をこうさせたか」を全文収録
●この一冊で金子文子の思想と行動がわかる
※収録に当っては、旧著と同様、旧字体を新字体に、歴史的かな遣いを現代かな遣いに改め、さらに難読語はかなに開き、ルビを付す。また旧著に付した年譜に加筆削除し、参考文献等をも挿入

【目次】
・何が私をこうさせたか
忘れ得ぬ面影 栗原一男/添削されるに就いての私の希望/父/母/母の実家/新しい家/朝鮮での私の生活/村に還る/虎口へ/父よさらば/東京へ/新聞売子/露店商人/女中奉公/街の放浪者/仕事へ-私自身の仕事へ!
・調書
・獄中歌集
・解説 鈴木裕子
・金子文子年譜
・あとがき

【著者より】
『金子文子 わたしはわたし自身を生きる』増補新版に寄せて
 今般、二〇〇六年に刊行した『金子文子 わたしはわたしを生きる』が品切れになったのに際し、旧版では、全文を収録できなかった『何が私をこうさせたか』を全部収録しました。収録に当っては、旧著と同様、旧字体を新字体に、歴史的かな遣いを現代かな遣いに改め、さらに難読語はかなに開き、ルビを付けました。また旧著に付した年譜に加筆削除し、参考文献等をも挿入しました。
 金子文子の思想と行動は、本書を読まれることによって、その大凡を知ることができるかと存じます。文子が死去してから八十六年余経過しますが、文子の願いとは逆に、日本と韓国朝鮮との間には、さまざまな未解決の問題があり、また天皇制は、戦前戦中の神権天皇制から象徴天皇制と衣を脱ぎかえたものの、依然として存在し、市民の上に重くのしかかっています。
 天皇制は、まだこの国ではタブーとされ、天皇・天皇制の批判をすることは、事実上、メジャーな言論機関からは排除されています。このため、植民地支配、侵略戦争に天皇や天皇制が大きな責任を有し、その罪について明らかにすることはなかなか困難といえます。
 さて、日本軍「慰安婦」(性奴隷)問題が争点化されてから二十二年あまり経過しますが、この「慰安婦」制度を生み出したのは、天皇制国家であり、天皇の軍隊といわれた「皇軍」、すなわち日本軍です。この問題も依然と未解決のまま、被害者は年々亡くなっています。
 天皇・天皇制は、日本以外の地域の人びとにとっては、大方忌わしいものと認識されているでしょう。しかし、日本社会では、そうした歴史認識を共有できていません。この結果、とりわけ韓国朝鮮、中国台湾の人びとと日本市民との間にいまも歴史認識・事実認識の上で大きな隔たりがあるといえるでしょう。
 金子文子は、少女期を植民地朝鮮で暮し、朝鮮人にたいする苛酷な仕打ち、虐待、搾取、酷使を目の当たりにし、植民地支配、さらに帝国主義の基盤となっている天皇制の矛盾を鋭く衝いた女性です。わずか二十三年の人生でしたが、わたくしたちが金子文子に学ぶものはいまだに大きいものがあると思います。
 最後に、旧著で「年譜」を作成してくださった亀田博さん、佐藤信子代表をはじめとするやまなし金子文子研究会の方がた、また本書を刊行してくださった梨の木舎の羽田ゆみ子さんに感謝します。
      2013年2月25日 鈴木裕子

【著者プロフィール】
鈴木 裕子(スズキ ユウコ)
1949年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程日本史学専攻修了。
 主な単著に『女たちの戦後労働運動史』(未来社、1994年)、『フェミニズムと朝鮮』(明石書店、1994年)、『戦争責任とジェンダー』(未来社、1997年)、『天皇制・「慰安婦」・フェミニズム』(インパクト出版会、2002年) 
主要編著・共著に『山川菊栄評論集』(岩波書店、1990年)、『日本女性運動資料集成』全11巻(不二出版、1993〜1998年) 『ジェンダーの視点からみる日韓近現代史』(梨の木舎 2005年)
(上記内容は本書刊行時のものです。)

ISBN 978-4-8166-1301-2 C0023
2013年3月発売

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