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銀河鉄道の夢

¥1,870 税込

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『銀河鉄道の夢』

飯島勝彦 著
発行:梨の木舎

四六判 上製 284頁
定価 1,700円+税
ISBN 978-4-8166-2207-6 C0093

陽炎のように儚い村里。それでも鳴き続ける蟋蟀でいたい。
銀河鉄道(小海線)に妻を偲ぶ著者終の小説集。

 つれあいを亡くして三年目(二〇二一年)の夏、ようやく平常な盆が迎えられると思った矢先に、突然の急性肺炎で入院することになった。二十五日間の病院ぐらしのあと自宅に酸素濃縮器を設置。「パルスオキシメーター」(動脈血中のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかを示す『酸素飽和度』を測定する)に管理される生活になった。
(中略)
 「あしたは最上階の五階へ移ります。リハビリ頑張って下さいね」消灯に来た看護師が告げていった。それをいま思い出す。
 そうか、明日の夜はもっと、銀河鉄道が近くなるのだ。あしたこそはそこに停車し、乗車ができるのではないか。たぶん邦子も乗っていて、車窓に映る辿りきた道程の夢現を、共に見ることができるのではないか。八〇キロに未たぬ路線に三一もの駅をもつ銀河鉄道は、きつい勾配をゆっくり登坂しながらも、走馬燈のような目まぐるしい展開をみせるだろう。
 それを見届けなければならない。そして、妻に会えるのならば、言いそびれてしまった一言を伝えなければならない―――「次の世も一緒に」。
 「銀河鉄道の夢」が決まった。
(序より抜粋)


目次

少年......青春・姉・農協・結婚/奔馬 ......町議員兼務 (八年)
寒梅記......農協不正貸付(九億円)事件
父の螢 ......父母の終・挫折・産廃
モノローグ......息子の自死/モノローグ......孫の不登校
のんの口伝......叔母の戦争/陽炎の里......壊れる農村・壊す者
銀河鉄道......災害・戦乱・隣離れ・夢


著者
飯島勝彦(いいじま・かつひこ)
1939年長野県佐久市(旧望月町布施)生まれ。
県立野沢北高校卒業。
布施村農協、望月町農協、佐久しらかば農協に35年間勤務。
この間「館報もちづき」編集長、望月町連合青年団長、望月町議会議員を歴任。
退職後、農業を営む傍ら小説を執筆。
1998年「鬼ヶ島の姥たち」で家の光協会 第45回地上文学賞。
2004年「銀杏の墓」で第47回日本農民文学賞。
2006年小説集「埋火」で第23回山室静・佐久文化賞。

長野県佐久市在住。

日本ペンクラブ会員。
日本農民文学会長野支部長。
NPO法人多津衛民芸館顧問。

著書
『鬼ヶ島の姥たち』 (郷土出版社)
『埋火』 (郷土出版社)
『恍惚の里』 (郷土出版社)
『冬の風鈴』 (郷土出版社)
『夢三夜』 (梨の木舎)

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