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三鷹事件 無実の死刑囚 竹内景助の詩と無念
¥1,320
『三鷹事件 無実の死刑囚 竹内景助の詩と無念』 石川 逸子 著 発行:梨の木舎 四六版 並製 176頁 定価1200円+税 ISBN 978-4-8166-2202-1 無実の者を死刑にするという間違いがどうして起こったのか? 詩人である石川逸子さんは、遺された詩を紹介しながら、冤罪事件に迫る。 【三鷹事件とは】 今から72年前1949年7月15日三鷹駅での電車暴走により、6名が死亡し20名近くが重軽傷を負った。竹内景助さんは犯人だとして逮捕され、最高裁で死刑が確定した。その後脳腫瘍により1967年45歳で獄中死する。 しかし専門家の鑑定により、事件が複数犯行だとされた。さらに有罪の決め手とされた目撃証言についても、暗がりでの人物の識別は不可能だとされた。 1968年再審請求が出されたが、東京高裁裁判所第4刑事部は棄却。2011年第2次再審請求が出された。現在、第5刑事部に係属し、再審開始決定を切望している。 【目次】 序文・再審請求弁護団長・高見沢昭治 1 はじめに 2 三鷹事件のあらまし 3 非党員の竹内さんの逮捕 4 虚偽の自白へ 5 第一審判決 6 無期懲役から死刑へ 7 最高裁に向けた闘い 8 一票差の死刑宣告 9 再審への闘い 10 無実の証拠の数々 11 遠い思い出 12 無念の獄死から 13 遺族の想い 【著者プロフィール】 石川 逸子(いしかわ いつこ) 1933年、東京生まれ。日本現代詩人会会員。 1982年よりミニコミ通信『ヒロシマ・ナガサキを考える』 主な著書に、『オサヒト覚え書き―亡霊が語る明治維新の影』『日本軍「慰安婦」にされた少女たち』(岩波ジュニア新書『〈日本の戦争〉と詩人たち』(影書房)など。 主な詩集に、『新編 石川逸子詩集』『定本 千鳥ケ淵へ行きましたか』『ぼくは小さな灰になって…。―あなたは劣化ウランを知っていますか?』ほか
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「今ここ」神経系エクササイズ 「はるちゃんのおにぎり」を読むと、他人の批判が気にならなくなる。
¥1,760
「今ここ」神経系エクササイズ 「はるちゃんのおにぎり」を読むと、他人の批判が気にならなくなる。 浅井咲子:著 定価:1600円+税 ISBN:978-4-8166-1707-2 C0011 Y1600E A5判 並製 100頁 発行日:2017年12月25日 たった5つの動作で、神経の下ごしらえ(=自己調整)ができます。 あなたらしく生きるためのサーモモード(=マイルドな神経系)を育てましょう! 【目次】 おはなし はるちゃんのおにぎり はじめに 1章 神経系のはなし 神経の4つの状態 見分けてみよう なだらかな神経の動き~サーモスタット機能 腎臓と仲良くなろう~サーモスタットの臓器 2章 5つのエクササイズ~神経の下ごしらえ 5つのエクササイズ まずは、何も考えずにやってみましょう! サーモモード(サーモスタットが入った状態)を伝達させよう グループや集団に向けて試してみよう 3章 サーモモードをつくり、レジリエンスのある生活へ こうやって神経系は変化する まとめ レジリエンスのある生活とは 4章 神経系の発達 サーモモードつかめましたか 神経系のセルフケアについて 神経系の発達とは? 養育者とのかかわりがストレス対処のパターンに バランスのとり方、介入の方法 5章 気づきが癒し 神経系の土台がないとどうなるか 癒しは自分のなかから 参考文献 あとがき 【著者プロフィール】 浅井咲子(あさいさきこ) 神経セラピスト 外務省在外公館派遣員としてロンドンにある日本国大使館に勤務する。その後渡米し、カリフォルニア州のジョン・F・ケネディ大学院で、カウンセリング心理学の修士課程(身体心理学専攻)を修了。オークランドにある地域カウンセリングセンターで研修。帰国後、教育センター、企業内で相談員として勤務。2008年から現在まで、私設セラピストとして自己調整とレジリエンスのある生活を提案し続けている。2011年より被災地(福島)で定期的にトラウマとPTSDのケアのためのゲームを実施(8回訪問)している。本書にある多重迷走神経理論のS.W.Porges博士からも直接講義を受けた。翻訳書にP.リヴァイン著「子どものトラウマ・セラピー」(雲母書房2010年)、著書に「自律神経セルフメンテナンス」(非営利活動法人ratik2014年)、「100%魂のかたち」(ヒカルランド、2017年)がある。
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韓国現代史の深層 「反日種族主義」という虚構を衝く
¥3,080
『韓国現代史の深層』 ――「反日種族主義」という虚構を衝く 金 東椿 著 佐相 洋子 翻訳 李 泳采 解説・監訳 発行:梨の木舎 A5 並製 350頁 定価 2,800円+税 ISBN 978-4-8166-2002-7 C3022 気鋭の韓国の社会学者による、日本における『反日種族主義』批判の書 解説・李泳采(恵泉女学園大学大学院教授) 韓国現代史の連続性と断絶性、その原因と背景を緻密に分析して明らかにした本が今までにあっただろうか? 日本でもベストセラー(?)となっている『反日種族主義』の問題点を根本的なところから批判的に検討する本『韓国現代史の深層―「反日種族主義」という 虚構を衝く』(金東椿著、梨の木舎出版)が翻訳出版されました。 著者の金東椿先生は、盧武鉉政権当時、真実和解委員会の常任理事として、韓国過去事清算をリードしてきた知識人です。文在寅政権に入って、なぜ改革が限界に直面していたのか、今日(4月15日)の韓国総選挙で市民社会は何を目指しているのか、「反日種族主義」の根本的な問題点はどこにあるのだろうか、韓国現代史の深層を根本から取り直している貴重な著作です。 【目次】 1章 民衆は国を失い、国は主人を失って———植民地と分断…………… 17 2章 「自由世界」の最前線———国家宗教になった反共・親米…………… 109 3章 闘いながら働いて、働きながら闘え——近代化の影…………… 209 ◉日本語版への補論――日本における『反日種族主義』旋風を批判する。 1.かれらは公に「親日派」を宣言した… 2.種族主義とは何か 3.「植民地征服」は「恩寵」である、について 4.重要な事実の隠蔽 5.朝鮮戦争の火種 ◉解説 李泳采…………… 335 「反日種族主義」の虚構を越えて―― 過去への懺悔と新時代への決意があるというなら、誰もが読まねばならない 李泳采(恵泉女学園大学教授) 【プロフィール】 著者 金東椿(キム・ドンチュン) 1959年、慶尚北道生まれ。社会学者。ソウル大学大学院で社会学博士学位を取得。『経済と社会』編集委員長、参与連帯政策委員長、真実和解のための過去事整理委員会常任委員などを歴任。現在聖公会大学社会学部教授。 日本で読める著作としては、『近代の影―現代韓国社会論―』(青木書店)、『朝鮮戦争の社会史』(平凡社)がある。 翻訳 佐相洋子(さそう・ようこ) 東京都出身。慶応義塾大学文学部史学科卒業。恵泉女学園大学大学院平和学研究科修士課程修了。 翻訳に『韓国・独裁のための時代』(彩流社)がある。 解説・監訳 李泳采(イ・ヨンチェ) 1971年韓国生まれ。恵泉女学園大学大学院教授。 著書に、『なるほど!これが韓国か』(朝日新聞社)、『韓流が伝える現代韓国』(梨の木舎)、『犠牲の死を問う』(梨の木舎)、『東アジアのフィールドを歩く―女子大学生がみた日中韓の素顔』(梨の木舎)『今、朝鮮半島は何を問いかけるのか』(彩流社)など。
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金子文子 わたしはわたし自身を生きる 手記・調書・歌・年譜
¥3,960
※2020年5月3刷決定! [増補新版] 金子文子 わたしはわたし自身を生きる 手記・調書・歌・年譜 鈴木 裕子(編) A5判 310頁 並製 定価 3,600円+税 大逆罪で死刑判決を受け、獄中で縊死。弱いもの小さいものに心をよせ、明快な言葉と論理で天皇制に直接対峙し、自分の生を生ききった、23歳の生涯。 ●獄中手記「何が私をこうさせたか」全文、裁判尋問調書、獄中歌集を収録 ●2019年に映画『金子文子と朴烈』(イ・ジェフン、チェ・ヒソ出演、イ・ジュンイク監督)が公開され、現在DVD販売中。 金子文子は1903年横浜に生まれ、大逆罪で死刑判決を受け、減刑されるが獄中で縊死。極貧のなかで子ども時代をすごし、祖母に虐待を繰り返される朝鮮での暮らしのなかで、3.1独立運動に遭遇、朝鮮独立運動に深く共感する。弱いもの小さいものに心をよせ、明快な言葉と論理で天皇制に直接対峙し、自分の生を生ききった、23歳の生涯であった。 ●「権力の前に膝を折って生きるよりは、死して自分の裡に終始」した、金子文子の生涯を浮き彫りにする。増補新版の刊行! ●二〇〇六年に刊行した旧版(品切)に収録できなかった部分をいれ、獄中手記「何が私をこうさせたか」を全文収録 ●この一冊で金子文子の思想と行動がわかる ※収録に当っては、旧著と同様、旧字体を新字体に、歴史的かな遣いを現代かな遣いに改め、さらに難読語はかなに開き、ルビを付す。また旧著に付した年譜に加筆削除し、参考文献等をも挿入 【目次】 ・何が私をこうさせたか 忘れ得ぬ面影 栗原一男/添削されるに就いての私の希望/父/母/母の実家/新しい家/朝鮮での私の生活/村に還る/虎口へ/父よさらば/東京へ/新聞売子/露店商人/女中奉公/街の放浪者/仕事へ-私自身の仕事へ! ・調書 ・獄中歌集 ・解説 鈴木裕子 ・金子文子年譜 ・あとがき 【著者より】 『金子文子 わたしはわたし自身を生きる』増補新版に寄せて 今般、二〇〇六年に刊行した『金子文子 わたしはわたしを生きる』が品切れになったのに際し、旧版では、全文を収録できなかった『何が私をこうさせたか』を全部収録しました。収録に当っては、旧著と同様、旧字体を新字体に、歴史的かな遣いを現代かな遣いに改め、さらに難読語はかなに開き、ルビを付けました。また旧著に付した年譜に加筆削除し、参考文献等をも挿入しました。 金子文子の思想と行動は、本書を読まれることによって、その大凡を知ることができるかと存じます。文子が死去してから八十六年余経過しますが、文子の願いとは逆に、日本と韓国朝鮮との間には、さまざまな未解決の問題があり、また天皇制は、戦前戦中の神権天皇制から象徴天皇制と衣を脱ぎかえたものの、依然として存在し、市民の上に重くのしかかっています。 天皇制は、まだこの国ではタブーとされ、天皇・天皇制の批判をすることは、事実上、メジャーな言論機関からは排除されています。このため、植民地支配、侵略戦争に天皇や天皇制が大きな責任を有し、その罪について明らかにすることはなかなか困難といえます。 さて、日本軍「慰安婦」(性奴隷)問題が争点化されてから二十二年あまり経過しますが、この「慰安婦」制度を生み出したのは、天皇制国家であり、天皇の軍隊といわれた「皇軍」、すなわち日本軍です。この問題も依然と未解決のまま、被害者は年々亡くなっています。 天皇・天皇制は、日本以外の地域の人びとにとっては、大方忌わしいものと認識されているでしょう。しかし、日本社会では、そうした歴史認識を共有できていません。この結果、とりわけ韓国朝鮮、中国台湾の人びとと日本市民との間にいまも歴史認識・事実認識の上で大きな隔たりがあるといえるでしょう。 金子文子は、少女期を植民地朝鮮で暮し、朝鮮人にたいする苛酷な仕打ち、虐待、搾取、酷使を目の当たりにし、植民地支配、さらに帝国主義の基盤となっている天皇制の矛盾を鋭く衝いた女性です。わずか二十三年の人生でしたが、わたくしたちが金子文子に学ぶものはいまだに大きいものがあると思います。 最後に、旧著で「年譜」を作成してくださった亀田博さん、佐藤信子代表をはじめとするやまなし金子文子研究会の方がた、また本書を刊行してくださった梨の木舎の羽田ゆみ子さんに感謝します。 2013年2月25日 鈴木裕子 【著者プロフィール】 鈴木 裕子(スズキ ユウコ) 1949年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程日本史学専攻修了。 主な単著に『女たちの戦後労働運動史』(未来社、1994年)、『フェミニズムと朝鮮』(明石書店、1994年)、『戦争責任とジェンダー』(未来社、1997年)、『天皇制・「慰安婦」・フェミニズム』(インパクト出版会、2002年) 主要編著・共著に『山川菊栄評論集』(岩波書店、1990年)、『日本女性運動資料集成』全11巻(不二出版、1993〜1998年) 『ジェンダーの視点からみる日韓近現代史』(梨の木舎 2005年) (上記内容は本書刊行時のものです。) ISBN 978-4-8166-1301-2 C0023 2013年3月発売
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歴史を学び、今を考える -戦争そして戦後
¥1,650
教科書に書かれなかった戦争66 歴史を学び、今を考える -戦争そして戦後 恵泉女学園大学平和文化研究所・戦後70年特別座談会 内海愛子、加藤陽子(著) A5判 154頁 並製 1,500円+税 「身近な出来事から考えていくと、社会の仕組みが見えてきます」内海愛子 「国家は想像を越える形で国民に迫ってくる場合があります」加藤陽子 大きな揺れの時代に、いま私たちは生きている。戦争を経て戦後も72年を迎え、今私たちはどこに向かって進んでいるのか。被害と加害、協力と抵抗の歴史を振り返りながら、キーパーソンのお二人が語る。 時代を読みとるための巻末資料を豊富につけた。特に「賠償一覧年表 戸籍・国籍の歴史・・・人民の国民化」は実にユニークです。 【目次】 はじめに 川島堅二恵泉女学園大学学長 挨拶 1部 歴史を学び、今を考える ・それでも日本人は「戦争」を選ぶのか? 加藤陽子 ・日本の戦後 -少数者の視点から 内海愛子 2部 質問にこたえて 「国家は想像を越える形で国民に迫ってくる場合があります」加藤陽子 「戦争も歴史も身近な出来事から考えていくことで社会の仕組みが見えてきます」内海愛子 資料 (1)英米共同宣言 (2)開戦の詔書 (3)『内外商業新報』1941年12月9日より (4)『朝日新聞』1941年12月9日より (5)敵国および断交国一覧 (6)連合国共同宣言 (7)カイロ宣言 (8)ポツダム宣言 (9)南方の連合国軍陸軍兵力概算表 (10)終戦の詔書 (11)日本軍の武装解除 (12)日本国との平和条約(サンフランシスコ条約)(抄) (13)サンフランシスコ平和条約署名国一覧 (14)通達 法務府民事甲第四三八号 平和条約に伴う朝鮮人、台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理について (15)日本のアジア占領・支配と戦争裁判・賠償一覧 (16)日本の賠償および準賠償 (17)賠償プロジェクト一覧(インドネシア) (18)年表 戸籍・国籍の歴史 -人民の国民化 【著者プロフィール】 内海愛子 1941年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部、同大学院文学研究科社会学専攻修了。 在日朝鮮人などマイノリティ・少数者の人権をテーマに研究。1975年から2年間、 インドネシア国立パジャジャラン大学で日本語教師。恵泉女学園大学教授、早稲田 大学大学院客員教授などを経て、現在、大阪経済法科大学アジア太平洋研究セン ター所長。 著書『朝鮮人BC級戦犯の記録』(勁草書房、1982年、のち岩波現代文庫、2015年)『ジャワオランダ人少年抑留所』(梨の木舎、1997年)『戦後補償から考える日本とアジア』(山川出版社、2002年)『スガモプリズン―戦犯たちの平和運動』(吉川弘文館、2004年)『キムはなぜ裁かれたのか―朝鮮人BC級戦犯の軌跡』(朝日選書、2008年)などがある。 加藤 陽子 1960年、埼玉県大宮市(現、さいたま市)生まれ。1989年、東京大学大学院人文社会学系研究科修了(文学博士)。現在、東京大学大学院人文社会学系研究科(日本史学)教授。専門は日本近現代史であり、特に1930年代の外交と軍事を中心に研究を続けてきた。 著書『徴兵制と近代日本1868-1945』(吉川弘文館、1996年)、『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書、2007年)、『昭和天皇と戦争の世紀』(講談社、2011年)、『模索する1930年代』(山川出版社、2012年)、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫、2016年)、『戦争まで』(朝日出版社、2016年)などがある。 ISBN 978-4-8166-1703-4 C0021 2017年6月発行
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むし歯ってみがけばとまるんだヨ 削って詰めるなんてもったいない!
¥1,650
むし歯ってみがけばとまるんだヨ 削って詰めるなんてもったいない! 岡田弥生(著/文) 発行:梨の木舎 四六判 192頁 並製 定価 1,500円+税 子どもたちに健全な永久歯列をプレゼントする歯の育児書!むし歯はとまる、とまっていれば大丈夫です。杉並で二十年間歯科健診医をつとめる岡田先生が長年の経験から得た、むし歯で削らないためのスキルとインフォメーションをお母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃんにつたえます。 【目次】 ●むし歯はとまっていれば大丈夫 ●むし歯には自然治癒がある! ●初期で見つければ削らずにすみます ●初期むし歯を止めるのはお母さん、お父さん ●がんで死なない、むし歯で削らないを目指しましょう ●主治医を選んで伴走してもらいましょう ●きょうだい関係とむし歯 ●フッ素に依存しないで、上手に使いましょう ●むし歯ごときでオッパイをやめるなんてもったいない ●「ハイシャ」か? 「ハカイシャ」か? ●歯には葉を! ●寝かせみがきはスキンシップ 両親で仕上げみがきごっこ 【著者プロフィール】 岡田弥生(おかだやよい) 1954年愛知県岡崎市生まれ。 東京医科歯科大学歯学部、名古屋大学大学院医学研究科(口腔外科学専攻)卒業。 主な著書『おいしく・生きる』『高齢期の口腔ケア』 受け手の側から歯科医療を良くしていくことを目指して「草の根歯科研究会」を主宰 (上記内容は本書刊行時のものです。) 【前書きから】 20年の経験から 東京都杉並区で20年、乳幼児の歯科健診に従事してきました。もしかしたら、日本の歯科医の中で、子どもの歯を一番多く診た幸せ者かもしれません。こういう仕事をしている歯科医は他にいませんから。(ほとんどの自治体では、開業歯科医が仕事の合間に健診に従事しています)。 20年の間に、私自身の健診の仕方も変化してきました。今も道半ばですが、この経験を世に問いたいという思いが強くなりました。のべ10万人以上の子どもたちの口の中を診て、いろいろなことを教えてもらいました。とりわけ、むし歯が治る、進行が止まるという経験は、衝撃的で感動的でした。それまでの10年間の歯科治療「削って詰めて抜いて入れ歯」に従事していましたから、むし歯に対する考え方が、すっかり変わりました。お母さま方の努力の賜物です。お母さま方から教えてもらったことを、他のお母さま方に伝えていくのが自分の務めだと思うようになりました。 子どもたちの健診ができるのは本当に幸せで、やりがいがあります。どの子も、どの歯も、個性があり、本当に可愛いと心から思います。歯は、口腔内環境を敏感に反映する律儀でけなげな器官です。私が診ているのは乳歯ですが、後に続く永久歯のために、大事な役割を果たして、どの歯も健康な状態で十分に働きたいと思っています。乳歯からのメッセージを受け止めないともったいないと思います。 丁寧に、きちんと歯の変化を診ていくことで、むし歯の治療はもっと減らせるはずです。それをお母さま方に知って欲しいと思って、この本を書いています。 これからの子どもたちは、むし歯が無いのが当たりまえになって欲しい、できるはずです。一人ひとりの、1本いっぽんの、歯が教えてくれること、歯からのメッセージを代弁できたらと思います。 後から振り返ると短い子育て期間を無我夢中で過ごした経験が私にもあります。楽しいけど忙しい子育ての中で、毎晩の仕上げみがきは負担でした。この負担感を少しでも軽くできればと思います。歯はけなげに応えてくれます。歯からのサインをきちんとキャッチすれば、むし歯を削って詰める恐怖から逃れるだけでなく、子ども自身が、歯を自慢、歯に自信を持って生きていくための助けになると思うのです。褒められることの少ない子育て中に、自信が持てる・楽しくなる、貴重な体験にもなるのではないでしょうか。 多くのお母さま方に励まされながら続けてきたこと、教えて頂いたことを一人でも多くの方に伝えられれば幸いです。 ISBN 978-4-8166-0802-5 C0047 初版発行年月 2008年2月
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傷ついたあなたへ2 わたしがわたしを幸せにするということ
¥1,650
傷ついたあなたへ2 わたしがわたしを幸せにするということ NPO法人レジリエンス (著/文 他) 発行:梨の木舎 A5判 85頁 並製 定価 1,500円+税 ロングセラー『傷ついたあなたへ』の2冊目。 DVドメスティクバイオレンス(パートナー間の暴力)が社会問題となって 久しいが、DVは一向になくならない。DVの被害者の女性たちが傷つきから回復し、歩き出すためのワークブック ●目次 【1章 DV、トラウマをより深く理解する】 ①パワーとコントロール ②目に見えないDVのつらさ 【2章 Bさん(加害者)について】 ①なぜBさんに焦点をあててこの章を書くのか ②Bさんの二面性 ③Bさんは変わるのか? ④PA 見えにくい攻撃やコントロールにも気をつけよう 【3章 回復の途中で気をつけておきたいこと】 ①不快な感情と向き合う方法 ②心の空虚感は一気に埋めずに時間をかけて ③私を幸せにする力は私自身の中にある ④自分の人生の舵をとる 【4章 自分で自分を大切にする歩み】 ①PTG:トラウマとなるような体験のあとにある成長 ②私が私を大切にする方法 【自分を表現するためのアートセラピー】 ●前書きなど 「2005年に『傷ついたあなたへ』を出版し多くの方々からさまざまな感想やご意見をいただきました。今回2冊目となる本書では、「加害者(Bさん)について」「トラウマとなる記憶について」「トラウマからの回復の途中で気をつけておきたいこと」など、この5年間に私たちが新たに学んだ情報を盛り込みました。DVやこころの傷のケアの理解をさらに深める内容になっています。」(はじめに より) ●著者プロフィール NPO法人レジリエンス DVやトラウマから回復するためのサポート活動を、2003年から行っています。レジリエンスとは、逆境にも耐え抜く力、そこから脱する力、新しくエネルギーを発揮する力、マイナスのものをプラスに変えていく力などを意味することばです。 傷ついた人が、「自らがもつレジリエンスで、自分らしく輝いて生きていく」ことを願って、多様な活動を行っています。 各地での講演や研修、東京と横浜での連続講座「レジリエンス☆こころのcare講座」の開催とそのファシリテーター養成講座の開催、サポートグループ、高校・大学でのデートDVの授業、カウンセリング、米国でのスタディツアー、米国から講師の招聘、さまざまな方法でDVやトラウマに関する心のケアを広めています。 上記内容は本書刊行時のものです。